「What happened? I can help you.」と気軽に声を掛けられるまちに
2021年11月に行われた「英語プレゼンテーションフォーラム茨城県大会」において、玉里学園義務教育学校9年生5人グループ(写真左から齋藤夕莉さん、吉野遥人さん、サミンディ・セミニさん、石塚成海さん、久保田真帆さん)は、県大会出場28校の中から最優秀2校にだけ与えられる「県知事賞」に選ばれました。同大会は、1校3名から5名のグループで「私たちがいばらき観光大使!『私たちがすすめるいばらきマイクロツーリズム』」をテーマに英語によるプレゼンテーションを行った後、発表内容について他の出場校グループと英語でやり取りを行い、その様子を審査します。
英会話能力が問われるこの大会で頂点に選出されたのは、生徒たちの努力、英語科の八木千鶴先生の指導に加え、ALT(外国語指導助手)のLiz(リズ)Akaba先生(60才)の存在が大きい、と吉永成範校長は語ります。
玉里学園義務教育学校で教えているLiz先生はフィリピン出身。日本人男性と結婚し、来日して37年。独学で日本語をマスターしました。母国の公用語フィリピン語と英語も含めて3つの言語を話すトライリンガル。フィリピンと日本の英語習得方法の違いや、楽しく英語を学習するコツを、Liz先生に伺いました。
―先生が授業で大切にしていることは何ですか?
Liz : 英語を楽しく学習するということです。短いフレーズの英文をカードに書いて、繰り返し発音し覚えます。それ を授業でゲームをして正解できるまで何度もチャレンジします。ゲームで間違えたりすることで記憶に残りやすいです。
―日本人は文法ができるのに会話が苦手なのはなぜだと思いますか?
Liz : 日本人は真面目な性格ですから、失敗を恐れてしまいます。正解は一つではないので、もっと気楽におしゃべりすればいいのです。恥ずかしがらずにたくさん間違えて英語に慣れましょう。
―日本の英語教育のレベルをどう思いますか?
Liz : 難しい内容を学習していると思います。特にテストが難しいです。 長文を作ろうとするので、とっさに文章が出てきません。会話を重視するなら、短く簡単な単語で表現することでコミュニケーションはとれます。
―フィリピンと日本の英語に対する大きな違いは何だと思いますか?
Liz : フィリピン人は、英語を話したいと思って勉強しています。日本人は英語を話すのは特別な人と思っています。
―フィリピンでの英語学習法で、日本でも取り入るべき方法を教えてください。
Liz : 子どもの頃から、家の中でも英語を日常的に使ってみるといいですよ。How old are you? (歳はいくつですか?) Let’s clean up(片付けましょう)など。
―簡単にできる、英会話に役に立つものを教えてください。
Liz : 子ども向けの英語の映画を観ることをお勧めします。何度も見れば自然に覚えられるフレーズがあります。
―最後に、Liz先生が思う英語学習で大切なことは何ですか?
Liz : 間違うことを恐れないことです。恥ずかしがらずにどんどん声に出して、気楽におしゃべりしましょう。言葉はコミュニケーションのツールです。
小美玉市に住む外国人市民は29人に1人。多文化共生社会の中で、教育現場では、小学校3年生から12人のALTとの交流を通じて文化の違い、英語の楽しさを感じる取り組みをしています。
朝、気持ち良いあいさつをしてくれる子どもたちのように、困っている外国人がいたら「What happened? I can help you.」(どうしました?お手伝いしましょう)と気軽に声を掛けられるまちにしていきましょう。教育現場では既にその取り組みが始まり、玉里学園義務教育学校9年生の5人チームが県知事賞を獲得するなど成果が出ています。
小美玉市国際交流通信:https://omitama.lg.jp
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