手書きの文字をずっと大切に

ひと

「地域のお子さんに書道の楽しさを伝える、こんな幸せな仕事はありません」。そう言ってほほ笑むのは「光洋(こうよう)書道教室」師範の原田恵吹(けいすい)さん(46才)。
小美玉市玉里地区の自宅で週4日、義父であり師匠でもある原田光洋さん(72才)とともに指導にあたっている。市内外から通う130人ほどの生徒さんのうち、主に中学生以下約100人が恵吹さんの担当だ。

書道の基本は、おへそが机に対面するように姿勢よく 座ること、筆を優しく握ること、筆を立てて動かすよう心掛けること。生徒さんにこの3つを繰り返し伝えている。「まずは作品のよいところを伝えて自信を持ってもらい、その後に修正箇所の指摘をします。月に4回のお稽古で徐々に上達していきます」と恵吹さん。

※光洋さんとともに丁寧な指導に徹している

「近所の教室で習い始めた小1の頃、先生と両親に何度も『字が上手だ』と褒めてもらいました。それがとてもうれしかったんです。どんどん字を書くことが好きになり、高2まで稽古を続けました。27才で結婚して義父に師事しましたが、あくまでも趣味として、個人的に楽しむつもりのものでした」。
転機が訪れたのは35才。夫と一人息子との時間を大切にするために、会社を退職。ほぼ同時期に準師範となり、光洋さんの強い勧めで教室を手伝うことになる。

2010年には師範になり、2013年からは高校生以下のお手本書きを任されるようになった。生徒さんが自分のお手本で稽古することに責任の重さを感じている。「私自身の稽古を怠ると、字の上達が止まってしまいます。定期的に展覧会へ出品することで自己鍛錬して、技術の向上を図っています」と表情を引き締めた。

※「お手本を書くのも大切な仕事です」

上手に書けたと喜んでいる生徒さんを見ると、うれしい。苦労して完成させた作品を満足そうに何度も見ている生徒さんには「努力は裏切らない」と伝えたくなる。小学校5年生の生徒さんのよだれを垂らしてしまうほどの集中力に、心から感動した。恵吹さんは指導を通して、一人一人の心の成長を見守り続けている。

「パソコンやスマホで文字を打つことが圧倒的に多くなってきていますが、心のこもった手書きの文字は決してなくならないと思います。特に毛筆は線の面白みが尽きることがありません。『この教室が好きだ』と思ってくださる生徒さんのために、字を書くことの楽しさと奥深さを地道に伝えていきたいです」と恵吹さんは力強く語ってくれた。

◆ 経歴と主な賞暦
原田 恵吹 (本名 恵) 
書遊会(書道の流派の一つ)師範
2019年 日本書作院(書道団体) 2科推薦
2020年 日本書作院(書道団体) 1科推薦
2018年~2020年 茨城県芸術祭美術展覧会 入選

原田 光洋(本名 正洋) 
書遊会(書道の流派の一つ)師範
日本書作院(書道団体)常任理事
茨城県芸術祭会員
茨城書道美術振興会評議員
読売書法会理事
教書誌 師範 教範

◆光洋書道教室 : 小美玉市高崎860-3
( 現在は新型コロナウイルス感染対策として、入口での手指消毒、常時換気、座席数を制限して予約制での稽古と なっています。)

◆公式ブログ     : http://koyoshodo.blog.fc2.com/

  • コメント ( 12 )

  1. kana-bun

    昨今は、手書きの機会がどんどん減ってきていますね。
    かく言う私も自分の書く文字にコンプレックスを感じている為か、手書きを避けている傾向があります。
    それだけに子どもの時から文字の基本にふれ合える場所があるのは本当に大切だと感じました。
    義父である光洋先生と恵吹先生の関係性も素敵ですね✨

    • kana-bunさま

      コメントありがとうございます。
      手書きの文字にはその人の心が一緒に乗せられていて、受かった時にとっても嬉しいですよね
      恵吹さんは光洋さんをとても尊敬しており、素晴らしい指定関係であり、親子関係です。

  2. o-ga

    子供たちが大変お世話になりました。
    いつも、優しい声でお話しくださり、丁寧にご指導して頂きました。
    先生の経験が今のご指導に繋がっているのですね。

    • o-gaさま

      コメントありがとうございます。
      話し方も物腰も柔らかい、ステキな先生ですね。何よりも地域のお子さんへの温かい見守りと応援の気持ちが素晴らしいです!

  3. 齋藤友幸

    筆を持って(ペンを持って)書くことが無くなったり、減って来ている今日この頃です。社会的にも物忘れ・記憶力の低下など歳の性にしてしまっている気がします。スマホやタブレット・パソコンの変換・AI変換に頼り過ぎと思います。幼少の頃からの書道教室は必須項目ですが、中高年齢層への文字教育も高齢化社会に進む現在には必要なのではと思います。そのような取り組みを進めて頂けたら天寿を全うされるまでスッキリ頭で居られると思います。投稿ありがとうございます‼

    • 遠藤康子

      齋藤さま
      コメントありがとうございます。
      パソコン、ガラケー、スマホに頼り続けて、私も漢字はそこそこ読めるけれど、書けない。書けたとしてもあやふやです。わからない字はスマホで検索。辞書を引くことも皆無です。年賀状もパソコン。
      時短で便利ですが、確実に脳は退化していってます
      齋藤さんのおっしゃる通りですね。介護予防として文字を書くこと、いつまでも感性豊かであるためにも、手書きの文字と付き合っていくことは大切なことですね。

  4. プレーンヨーグルト

    純粋に字の綺麗の綺麗な人に憧れます。
    さりげなく添えてあったメモ書きがとても美しく、凛としていたり。私も書けたら、素敵〜なんていつも思います。
    機会が有ったら、毛筆習ってみたいです。

    • 遠藤康子

      プレーンヨーグルト様
      コメントありがとうございます。文字のうまい、へたではなく、心を込めて丁寧に書いているかどうか?とっても大事なことですよね。
      もちろん、うまいにこしたことはありませんが

  5. わんわん

    携帯やパソコンを使うようになってから文字を書くことが少なくなってしまいました。先生がお話しされるように毎日、文字を書いていないと下手になってしまいました。私は母が私の名前を書いてくれる文字が好きでした。手が違うので、何度書いても母が書いてくれた文字は書けないです。毎日少しでも文字を書く練習をしたいものです

    • 遠藤康子

      わんわんさま
      コメントありがとうございます。
      誰かのために書く手書きの文字っていいですよね。
      その時間は心が静かになり、その人のことだけを思って集中して書く時間がステキですよね。

      お母様もきっとわんわんさんのことを思って書かれたのでしょうね。

  6. Mami

    きれいな文字を書けることには本当に憧れます。
    書道はいつからでも始められて、年を重ねても続けられる。
    いいですよね~!

    • 遠藤康子

      Mamiさま
      コメントありがとうございます。
      書道は自分を見つめる時間にもなりますよね。
      光洋書道教室で楽しんで書道を続けるお子さんがもっともっと増えるといいなあ、と思います

遠藤康子

11,584 views

★編集部 編集長★ 玉里地区を中心に取材を担当しています!よろしくお願いいたします。

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧

ABOUT

TOWN JOURNAL OMITAMAとは
私たち小美玉市民による、小美玉市民のための市民メディアです。

有志の住民グループにより結成された「タウンレポーター」が茨城新聞社の取材や編集の指導や協力を受けて、小美玉市の情報を小美玉市民のために発信していきます。
ABOUT