おみたまヨーグルトが紡ぐ素敵な関係

学生による記事

*茨城キリスト教大学の学生による記事です。ぜひご覧ください。

「小美玉と言えば、おみたまヨーグルト」とイメージする方も多いのではないでしょうか。市外に住んでいる私は、種類や味が豊富なおみたまヨーグルトは「小美玉を代表する名産品」という印象があります。どのようにして商品のブランド化に成功し、全国に名が知れ渡るようになったのか。次々に魅力的な新商品を生み出す小美玉ふるさと食品公社の工場長、木村智信さんを取材しました。

おみたまヨーグルトの特徴は、日本を代表する酪農の里である小美玉産の生乳を100%使用していること。通常、広域から生乳を集めて1つのタンクに入れますが、生乳生産量茨城県1位の小美玉は、量が多いため専用タンクを持っています。これによって「小美玉産生乳100%」と名乗ることができる、非常に珍しい存在です。

※小美玉の牧場

ヨーグルト以外にアイスやプリンの製造もしており、今までに製造したアイスは250種類にも上ります。アイス・プリン製造担当の吉田玲さんは「勉強のため日頃から他社のいろんな商品を食べます。敢えて斬新な商品を選び、他と同じものにならないようにしています」と語ります。おすすめの商品は「でせ~るふらん(プリン)」。瓶の容器にカラメル、プリン、クリームの3層にこだわり、かわいらしい見た目が特徴的です。新鮮な鶏卵を早朝から数百個手割りするなど、手間をかけた分、想いがこもった商品となっています。プリンは卵黄のみを使うため、今まで使い道のなかった卵白をメインに使った白いプリンの商品開発を行いました。他にも、酒粕、干し芋の端材、福来みかんの皮など、「もったいない」をテーマにした商品があり大人気です。また、11年前、国立研究開発法人農研機構が発見した、肌の保水性を高める機能を持つH61乳酸菌で商品開発をした「からだ想いヨーグルト」は、生産者・デザイナー・乳酸菌関係者一丸となり、幾重もの困難を乗り越え完成しました。

※肌の保水性を高める「からだ想いヨーグルト」

次に、「おみたまヨーグルト」の名が広く知られるようになった理由を伺いました。2016年からプロモーションに取り組み、「よしもと47シュフラン金賞(2016)」「茨城おみやげ大賞最高金賞(2016)、入賞(2017、2019)」「いばらきデザインセレクション選定(2016、2017、2020)、奨励(2021)」「商業高校フードグランプリ大賞(2019)」と軒並み受賞。また、「美味しければ記憶に残ってくれる」と考え、各地のイベントに年間約60日出店するようになりました。

そして何より大きかったのが、2018年に小美玉市が開催した「第1回全国ヨーグルトサミットin小美玉」。全国初となったこの試みは、茨城県内外から16自治体28メーカーがヨーグルトを出店。ステージ企画、講演、足湯、ミュージカル、マルシェなども開催され、2日間で39,000人の来場者で賑わいました。国内最大級のヨーグルトイベントとなったヨーグルトサミットは、第2回の岡山県真庭市、第3回の岩手県盛岡市で開催。「第1回目の小美玉はとにかく凄かった」と耳にするそうです。木村さんとしても、「同業者の仲間が増えて心強い存在です」と話してくださいました。

※第1回全国ヨーグルトサミットin小美玉

産地を名前に冠した「おみたまヨーグルト」というネーミングは「ヨーグルトが有名になると同時に小美玉市の名前も知られる効果がありますね」と木村さん。「全世代に愛される商品になってほしいですね。給食で飲んだ子どもたちが、大人になった時に『自分の地元にはこんなおいしいものがあるんだよ』と周りに誇らしげに伝えてくれることが理想です」と笑顔で語ってくれました。

※小美玉ふるさと食品公社の吉田玲さん(左)、木村智信工場長

空のえき そ・ら・ら内にあるヨーグルトハウスに市外から買いに来た方は、「味が濃厚。これが本物のヨーグルトだと思います。一度食べたら他のものは食べられません」と満足そう。月2回は買いに来るという市内在住のリピーターは、「大手のものよりも断然美味しくて、友達にお裾分けすると喜んでくれます」と笑顔で話してくれました。

地元はもちろん、県内外にも広く愛され、リピーターを持つおみたまヨーグルト。「土と牛と人の共生」を掲げ、日本を代表する酪農の地で育った牛から作られるヨーグルトは、味はもちろん、その背景にある物語にも誇りを感じます。また、常に果敢に新たなチャレンジを行い、企業とのコラボなどによって次々と商品開発していることも、新しい客層を獲得しつつ、リピーターも目が離せない工夫だと知りました。

小美玉ふるさと食品公社の皆さんの商品に対する熱い思いがしっかりと消費者に届き、おみたまヨーグルトがきっかけで小美玉を知り、訪れる人が増え、リピーターになる。地元の子どもたちはおみたまヨーグルトを飲んで育ち、ふるさとの味として定着し、結婚式ではおみたまヨーグルトで乾杯する。小美玉市には、おみたまヨーグルトが紡ぐ素敵な関係がありました。

※結婚式でヨーグルト乾杯

  • コメント ( 2 )

  1. かが

    ヨーグルトたべたくなりましたー!あと。写真がいいっ

  2. 工場長

    大変な取材、ステキな記事を本当にありがとうございました!嬉しい記事を励みにこれからも益々頑張ってまいります\(//∇//)\

荻奈々美

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水戸市出身です。茨城キリスト教大学の地理学を専門とする先生のゼミで、主に地域振興について学んでいます。市外出身者だからこそ気付く小美玉市の魅力を発信していき...

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