「おみたまくらし 食と農のプログラム DAY3」
2021年11月6日(土)、小美玉市主催「おみたまくらし 食と農のプログラム DAY3」が開催されました。このプログラムは、全3回で構成。第1次産業が盛んな小美玉市を訪れ、農作物を作る人や加工する人に出会い、食と農を身近に感じる暮らし方について考える内容です。最終回となる今回は、約90年前、市内で創業した国内最大手の納豆メーカー、タカノフーズ株式会社(本社・同市野田)と市内の若手起業家3人に焦点を当てます。市外からの参加者はプログラムが始まる前に、市内玉里地区霞ケ浦湖畔周辺を散策。たくさんの農作物を生み出す小美玉の自然を楽しみました。茨城空港(同市与沢)内の会議室が今回の会場だったので、空港見学の好機にもなりました。
フードスコーレ×茨城県小美玉市の協働プログラム
★「おみたまくらし 食と農のプログラム」https://www.facebook.com/events/1004312507074973
プログラムDAY3の午前は、タカノフーズ納豆博物館のマネージャー、宮本幸規さんに話を聞きました。同館は新型コロナウイルス感染拡大に伴い現在休館中のため、宮本さんの出張講座となりました。納豆の起源や栄養価、同社の沿革や企業理念、栄養機能性を持たせた納豆の開発などの最新プロジェクトと、多岐にわたる話を聞くことができました。創業の地である小美玉市を社員の皆さんが大切に考えていて、地元に根付いた企業として「人づくり、健康づくり、食文化づくり」を目指していることもわかりました。
参加者は、同社で作られた3種類の納豆と豆腐を試食。味を確かめながら、それぞれの製品の特長や製造工程を聞きました。「健康づくりのために効果的な納豆の食べ方は?」という参加者の質問に、宮本さんは朝夕食べることと腸内細菌を入れ替えるためにまずは3日間食べ続けることを薦めました。
最後に、家畜に納豆を食べさせるプロジェクトが紹介されました。家畜も健康になり、排せつ物のにおいも軽減されるという話に参加者一同が感心しました。「どのような形状の納豆を家畜に与えるのか」という質問もあり、参加者の「農」への関心の高さを感じました。
タカノフーズHP : https://www.takano-net.co.jp
午後の部は、市内の若手起業家3人の話を聞きました。
1人目は、空のえき そ・ら・ら(同市山野)チャレンジショップ「カフェバール まつのぢ舎」を経営する松尾紀子さん。松尾さんは2011年の東日本大震災を経験し、もっと主体的な人生を送りたいと思ったことから、2021年4月のカフェ開業に至るまでの歩みを話しました。「食に携わるさまざまな人と出会いがあって、このカフェを開くことができました。何とか恩返しをしたいと思い、お世話になった方々の情報を発信していくうちに、カフェが地域の魅力発信局のようになってきました。1人でカフェを経営していて不安なこともありますが、一つ一つ近い目標をクリアして楽しみととらえたいです」。参加者からの「食材を生産する農家さんとのつながりはありますか?」という質問に、農家さんから直接申し入れがあって加えられたメニューがあることが紹介されました。
カフェバール まつのぢ舎 : http://www.city.omitama.lg.jp/0714/info-0000007488-8.html
TJOバックナンバー:https://townjournal-omitama.com/2021/08/27/g00002/
2人目は、平飼いウコッケイの卵を生産販売する「うこっけいおみたまごファーム」を経営する林百合子さん。3人のお子さんを育てながら、自宅の一角でウコッケイやアローカナ(南アメリカ原産のニワトリの品種、水色の殻をした卵を産む)を飼い始め、2021年4月に開業。現在は成鳥と雛を合わせて800羽を飼育しています。起業した動機は家族の健康のためという林さん。ウコッケイは1週間に1個の卵しか産まないこと、卵の販売を始めた当初は、なかなか卵のよさを知ってもらえなかった苦労話も紹介。今は生産が追いつかないほど人気になり「卵のおかげで体の調子がいいよ」というお客さんの言葉がうれしいと言います。参加者からは「ウコッケイのエサは配合が難しいと聞きましたが、何かを参考にしていますか?」という質問があり、林さんは「ある養鶏場の記録が本として出版されているので参考にしてます。自分なりにバランスのとれたエサの配合を研究しています」と答えていました。
うこっけいおみたまごファーム : うこっけいおみたまごファーム | 直売所・農家 | 買う | 一般社団法人 小美玉観光協会 ようこそ小美玉へ (omitan.net)
最後は、オーガニック野菜を中心にしたメニューを提供するカフェ「FreewheelinG*」を経営する稲毛幸子さん。子育てしながら店舗の改装を自ら手掛け、2017年9月こだわりのカフェをオープンさせました。稲毛さんは、幼い我が子にどんなものを食べさせたらいいか情報を集めたことがきっかけで「食」への関心を高めました。食品添加物を使わず、低農薬栽培でつくられた野菜を使った食事が体にいいと知り、それを意識した食事を提供するカフェを目指しています。稲毛さんのカフェでは、たびたび研修や勉強会が開かれ、地域住民の「たまり場」としても活用されています。参加者からの「開業後、生活に変化はありましたか?」という問いに、稲毛さんは「カフェを開いたおかげでたくさんの人と出会いがあり、つながりが生まれました」と答えていました。
FreewheelinG* : https://www.facebook.com/freewheeling.2113/
(現在は新型コロナウイルス感染拡大のため休業中)
市外から参加した参加者に感想を聞きました。千葉県柏市在住の石井洋児さん、真紀さんご夫婦です。小美玉市は何度も訪れていて、小美玉ふるさと食品公社の製品のファンだそうです。今回はインターネットを通じてプログラムを知り参加しました。タカノフーズの納豆博物館に行くことを楽しみにしていましたが、残念ながら今は休館中ということで、見学は次の機会にするそうです。小美玉市の印象を尋ねると「いいところだなと改めて思いました。このプログラムではこのまちに住んでいる人と話ができ、気持ちが伝わってきたのでさらによかったです。若い起業家さんたちが頑張っている様子を見て応援したくなりました。ご縁を大事にし、常に前を向いている皆さんは素晴らしいですね」と話していました。
市内在住の参加者に感想を聞きました。保田孝雄さんと娘の亜美ちゃんです。保田さんは小美玉市に生まれ育ちました。長らく東京に在住し勤務していましたが、会社のテレワーク推進を機に、家族でUターン。小美玉で子育てをしたいと思いました。親子でこのプログラムに参加して、まちのことをもっと知り、身近に感じたいそうです。夫婦2人で800羽のウコッケイを育てている林さんのバイタリティに感心しきりでした。DAY2で訪問した保田農場でも、乳牛を育てている様子を初めて近くで見ることができ感動したそうです。
プログラム全行程を終えて、共催の「フードスコーレ」の大森愛副校長があいさつをしました。「今回は市民起業家からリーディングカンパニーとして小美玉を引っ張っていく大きな企業まで、小美玉の『食と農』にかかわる企業をいろいろな視点から見ることができました。このプロジェクトに参加した皆さんの動機はさまざまだったと思いますが、これが小美玉にかかわるきっかけになることもあると思います。参加者の皆さんが、それぞれ興味ある分野や深堀りしたいと思ったところでつながり、学びを深めていっていただきたいです」。
foodskole(フードスコーレ):https://foodskole.com/
主催した小美玉市の職員は「農作物の生産者とそれを加工し食品を作るメーカーの皆さんに直接話を聞くことができました。生産者の『おいしいものを作りたい。食べてもらいたい』という熱い思いが伝わってきました。私たちの『食』が生産者の思いに支えられていることを知る機会になったと思います」と結びました。
DAY1 : https://townjournal-omitama.com/2021/10/08/k00001/
DAY2 :https://townjournal-omitama.com/2021/10/29/k00002/
写真提供 : 小美玉市 斎藤友幸
コメント ( 4 )
DAY3に参加して、特に健康について考えさせる思いを強くしました。 今住んでいる地元で起業された方々の農業や、飲食店経営、食品製造会社など、 農とは何か? 食とは何か? 仕事へのおもいなどスライド等を見て聞けました。 特に気に入ったのが毎日世話になってる食品製造会社でした。レシピも公開されており ⇒ 納豆の種類 http://takanofoods.co.jp/products/lineup.php?select=natto 鍋料理 http://takanofoods.co.jp/okametofu/bijin/mynabe/index.html 豆腐 http://takanofoods.co.jp/okametofu/bijin/on-yakko/index.html 食べることも楽しくなります。 食と農のプログラムへ参加して 楽しく学べたと思います。
サイトウトモユキ様
コメントありがとうございます。
仰る通り、DAY3のプログラムは、食と農そして健康について考えた回だったと思います。
小美玉市民のみなさんが元気で明るいのは、新鮮な農産物が手に入るからかもしれませんね。
身近な風景が目の前に浮かび楽しく記事を読ませていただきました。
納豆の健康的な食べ方‥毎日健康で暮らせるのもおかめ納豆さんの力もお借りしていますね。ウコッケイの卵は高級な訳ですよね。などこの記事を読んで勉強になりました。まつのぢ舎さんをはじめ若い3人を応援したいと思います。
お疲れ様でした。
わんわん様
コメントありがとうございます。
小美玉市で創業したタカノフーズ、若い起業家のみなさん、共通していた理念は「みんなが笑顔で健康な食生活を送れるように」ということだったと思います。
これは、市内に暮らす人々の生活の中にも無意識に備わっているのかもしれません。
タウンジャーナル小美玉のレポーターとして、新たな視点に加えて取材していきたいと思いました。