おがわヒストリア ~小川の歴史、ここにあり~
小美玉市小川地区には、1階に図書館エリア、2階に資料館エリアを設ける複合施設、小川図書館・資料館がある。資料館には同地区の文化財をはじめ、歴史にまつわる数々の資料を展示している。
同館では、図書館の利用者に2階の資料館へも足を運んでもらえるよう、同地区の歴史や文化財をパネルで紹介する「おがわヒストリア」を始めた。
「おがわヒストリア」を始めたのは今年(2021年)5月から。同地区の歴史を、資料館の展示資料の解説を交えながらわかりやすくまとめ、1階図書館の一角に展示している。利用者が自宅でも読み返しができるように、同じ内容を印刷して配布もしている。
おがわヒストリアで紹介する内容は、資料館の展示内容に合わせたもの、身近な話題などを選んでいる。第1回では、今年のNHK大河ドラマにも登場した水戸徳川家9代藩主・徳川斉昭(なりあき)公が小川に残した親書(しんしょ *1)について紹介。第2回は江戸時代の感染症流行に対する小川の人々の疫除(えきじょ *2)祈願について紹介した。
この試みを企画したのは同館学芸員の和久法子さん。3月までは同市玉里地区にある市生涯学習センターコスモスに勤務していたが、4月に同館へ異動。資料館の資料管理や展示の企画、普及活動、資料の調査研究などに携わっている。
1階図書館でパネル展示「おがわヒストリア」を始めたきっかけは、資料館の利用者を増やしたいとの思いからだった。複合施設である同館だが、1階図書館の利用者が2階の資料館に足を運んでくれるとは限らない。そんな中、何とか利用者を増やしたいとの思いから始めた企画だった。和久さんは「小川の歴史を見ると、日本の歴史の流れを追うことができる。多くの方に小川の歴史に興味を持ってもらい、資料館に足を運ぶきっかけとなれば」と話す。今後、パネル展示の内容は随時入れ替えを予定している。
現在は10月23日から資料館で行われている展示企画を担当している和久さん。2019(平成31)年に閉校した同地区内の小川小学校・橘小学校のあゆみを振り返る展示企画となっている。12月12日まで。
同館長の吉田桂子さんは「昨年まで学芸員が不在だったが、今後は資料館の展示を企画できる。市民に興味を持ってもらえる展示を企画し、地域の歴史や文化を大切にする思いを共有していきたい」と話す。
小川図書館・資料館は図書館と資料館が一体となった施設。2階の資料館には展示資料があり、1階の図書館にはそれに関する文献がそろっており、市民にとってぜいたくな学びの場所である。「小川の歴史と文化に出会える場所」にぜひ足を運んでもらいたい。
小美玉市小川図書館・資料館
住所 小美玉市小川1664-2
電話 0299-58-5828
開館時間 午前9時30分~午後8時(資料館は午後6時まで)
祝日は午前9時30分~午後5時
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は開館し翌日休館)・月末整理日・年末年始(12月28日~1月4日)
*1 親書
親書とは身分の高い人が書いた自筆の手紙。ここでの親書とは、江戸時代の小川に存在した医学研究所「稽医館(けいいかん)」に斉昭公が贈ったとされる自筆の「神名記(しんめいき)」。「少名毘古那神(すくなびこな)」「大穴牟遅神(おおなむぢ)」二幅の掛軸からなる。 *2 疫除
疫病にかからないようにすること。
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