たくさんの航空ファンに支えられる茨城空港

学生による記事

*茨城キリスト教大学の学生による記事です。ぜひご覧ください。

茨城空港は航空自衛隊百里基地の飛行場を民間共用化して2010年に開港し、国内・国際線の就航路線の増加や増便などにより利用者が増加してきました。搭乗までの待ち時間の短縮、身体の不自由な方も使いやすいコンパクトさが魅力です。最大3,600台の駐車場が無料で利用でき、経済的な点も利用者に喜ばれています。
また、隣接する百里基地の訓練を見るために県内外から訪れる方がたくさんおり、なかには毎日のように訪れる熱心なファンもいるとか。飛行機の利用だけではない楽しみ方があるのも茨城空港の魅力です。

※茨城空港ビル管理事務所施設管理課 西谷昌泰さん

茨城空港は映画やドラマ、CMのロケにも利用されています。月1~2本は撮影があり、開港から150本ほどにものぼります。代表的なものとして、ドラマは「相棒」、「BG」、「おっさんずラブ」、バラエティは「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで 絶対に笑ってはいけない空港24時」など。ドラマ「半沢直樹」の中で「伊勢志摩空港」として茨城空港が使われたときは、インターネット上で話題になりました。コロナ禍の影響で運休となっている国際線のチェックインカウンターは、特に撮影で重宝されています。タイミングが合えば、基本的に誰でも撮影風景を見ることができ、有名人が来る時にはたくさんのファンが駆け付けるとか。制作会社からの要望にもできるだけ応えるようにしていて、海外の空港のように似せるために壁に装飾を貼り付ける事を許可したこともあるそうです。茨城空港ビル管理事務所施設管理課の西谷さんは「茨城空港や茨城のPRになればと思って撮影に協力しています」と笑顔で話してくれました。

茨城空港の敷地内にある空港公園には、退役した航空自衛隊戦闘機F-4ファントムが展示されています。ちょうど取材日に、このF-4ファントムを塗り直して、当時の姿に蘇らせるプロジェクトが行われていました。資金の一部はクラウドファンディングで集められ、支援者は800人以上にも上り、8日間で目標金額を達成したそうです。クラウドファンディングとは、インターネット上で自分の夢やプロジェクトを発信し、共感した不特定多数の人から資金を募る仕組みで、近年新しい資金調達の仕組みとして注目されています。小美玉市茨城空港利用促進協議会(以下、協議会)副会長の山西弘一郎さんに話を伺いました。

協議会は、茨城空港の利用促進を目的として、イベントや茨城空港の絵画コンクールなどを開催している団体です。コロナ禍でイベント開催が難しくなりましたが、以前からファンや地元住民から声が上がっていたこともあり、航空広場に展示されて10年が経ち色褪せてしまったF-4ファントムの塗装をしようと動き出しました。展示してあるF-4ファントムは、航空自衛隊百里基地から借り受け、展示機として協議会が管理しています。

実際に塗装作業をするのは、一般社団法人日本住宅塗装協会。塗装の技術で地域に還元したいと考えボランティア協力し、ファンの期待に応えられるよう、下地処理や細かい部分までこだわるなど職人たちが力を尽くしています。

※(一社)日本住宅塗装協会代表理事 岩上征直さん

※F-4ファントム

機体を塗り直すだけでなく、プロジェクト自体を通して茨城空港のPRにつなげたいというねらいもあり、塗装費用の一部をクラウドファンディングで募ることになったとのことです。このプロジェクトの目標金額は670万円でしたが、わずか8日間で目標額を達成することができました。

驚異的なスピードで目標金額を達成した理由について山西さんは、「ファンの心理が関係しているのではないか」と分析。「自分の好きなものにどんな形でもいいから関わりたい」というF-4ファントムファンの強い気持ちが、このような良い結果に繋がったと考えられます。山西さんは「支援してくれた方には感謝しかありません。大切な人たちです。今回協力してくれたことをきっかけに、また一緒に何かをやりたいですね」と期待を込めました。

※小美玉市茨城空港利用促進協議会 山西弘一郎さん

私は、今回の取材を通して、クラウドファンディングのイメージが変わりました。今までクラウドファンディングといえば、大きなプロジェクトで新しいモノを作るために資金を募る印象があり、自分には遠い存在でした。しかし今回、茨城空港という身近な場所で、今あるものを改善するためにクラウドファンディングが行われたと知り、一気に距離が縮まりました。直接的に活動に関われなくても、活動を支援したいという思いを資金調達という形で表現できることが魅力です。そのためには、自分だけが好きなものではなくみんなが興味、関心があること、そしてそのプロジェクトに資金を調達できる信用があることが成功につながるのではないかと思いました。私のような大学生が実現したいプロジェクトでもクラウドファンディングを活用できるのではないかと思い、目的を達成するための手段の視野が広がりました。

  • コメント ( 1 )

  1. overs24

    三方良しですね!
    ファンが喜んで関われる仕掛け方が大事ですね!

荻奈々美

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水戸市出身です。茨城キリスト教大学の地理学を専門とする先生のゼミで、主に地域振興について学んでいます。市外出身者だからこそ気付く小美玉市の魅力を発信していき...

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