地域の暮らしを守り続けて58年~小美玉市消防団第三分団~

暮らし

小美玉市には消防団が十九分団と女性部があります。消防団員は18歳以上の小美玉市在住者、または在勤者が対象です。火災の他にも台風や豪雨災害などの風水害、行方不明者捜し、地域の行事でもある芝焼きや夜回りなど防災の中核として私たちが安心して暮らせるように活動しています。

小美玉市消防団第三分団は発足から58年、主に羽鳥小学区を担当していますが、要請があれば美野里地区全域に出動、現在27名が住民の暮らしを守り続けています。

永井利幸さん(同市羽鳥・47歳)は入団25年、2018年から第十三代分団長、村田兼一さん(同市羽鳥・48歳)は入団20年、2018年から副分団長を務めています。小美玉市の消防団の任期は2年ですが、美野里地区の任期は4年です。消防団員の家庭ではサイレンが鳴ると子どもや妻から「サイレンが鳴っているけどパパ行かなくていいの?」と声をかけられます。「家族の協力があってこそできること」と声をそろえて話す永井さんと村田さんから話を伺いました。

※火の見櫓(ひのみやぐら)

※50年間活躍した機庫・詰所 (写真提供:村田兼一さん)

第三分団は1964年(昭和39年)に発足しました。羽鳥小学校近くにある消防団第三分団機庫・詰所は1972年(昭和47年)建設、翌年から使用開始したそうです。

※新機庫・詰所

2022年4月、機庫・詰所の老朽化に伴い羽鳥公民館脇の新道沿いに移転します。3台ある消防車のうち、今まで通り大型タンク車(積載水量1,500リットル)と投光器付小型可搬式ポンプ搭載車は常駐し羽鳥地区の防災の要となり活躍します。

※大型タンク車 (写真提供:村田兼一さん)

※投光器付小型可搬式ポンプ搭載車(写真提供:村田兼一さん)

 ―消防団に入団して良かったなと思うことを教えてください(敬称 略)

 永井:大変なこともありましたが入団当時は20代前半、分団長が40代後半で親世代の方と一緒に活動を始めました。地域のさまざまな世代の方とコミュニケーションがとれるのは財産だなと思います。

村田:魅力的なのは、いろいろな職業の人や幅広い年齢層の人と出会えることです。

―逆に苦労を感じることはどんなことですか

永井・村田:どうしても役員を引き受けると途中で辞めるわけにはいかないのと、自営業で仕事の傍ら消防に関わっているので、手を止めてでも現場に向かわなければならない事に葛藤があります。
業務内容はすぐに覚えられるものではないので、10年関わってやっといろいろな事を覚えてきた感じですね。

 ―火災の連絡はどのように入るのですか。またいつでも出られるように心がけていることは何ですか。

永井:最近は火災の通報を受けると、すぐに分団長と副分団長に火災メールが同時に入ります。一般の分団員は広報棟からのサイレンで知ることになります。

村田:茨城県の指令センターからメールが入ります。

永井:今はSNSなどが普及して団員にも一斉に連絡ができるので出動する時間が早くなりましたね。でも昔からサイレンが鳴ってから5分後には出動しています。

村田:玄関にはいつでも出られるように一式置いてあります。

永井・村田:出先などで連絡を受けたときは、最低限ヘルメットと手袋があれば消火活動ができるので車に積んであります。

※機庫の中の様子

―消火作業から機庫に戻ってきてどんなに遅い時間でもやる作業はありますか

永井:次の現場に呼ばれる可能性もあるので、すぐに出動ができるように準備をしてから帰ります。

村田:ホースなどの準備ですね。

―今、団員不足が慢性的になってしまったと聞きましたが理由を教えてもらえますか 

永井:自営業や農業の人が少なくなってしまったのと、夜勤の人もいて仕事の途中で出られる人が少なくなってしまったことが大きな要因です。どこの分団でも共通して言えることです。

永井・村田:消防団活動を理解したうえで入団して協力してもらいたいと思っています。

 ―大変だなと感じることはありますか

永井:1日24時間、気が張っていることです。出動要請がくると仕事の途中で出かけるので、しわ寄せがきてしまうときは大変だなと思います。

村田:火災現場で迅速に対応できるように、ここに消火栓があるなと、家族と車に乗っていても気になります。

2018年から発行している羽鳥消防団広報誌 現在vol.4を制作中

 ―4月から永井さんは本部員、村田さんは分団長になります。今の気持ちを教えてください

永井:本部員になると消防団から離れるわけではなく各分団の運営をサポートをしたり、火災現場では全体を見渡します。時には消火活動を手伝うときもあります。
分団長は現場での分団員の安全確保、他の分団との現場での連携、消防本部との調整などを主に行います。何でも「長」の付く役職は大変だけど、地域の人たちが安心、安全で暮らせるお手伝いができるのでやりがいがあります。

村田:分団長を見ていて大変だなと思いました。責任重大ですね。永井さんに相談してアドバイスをもらいたいと思います。不安もありますが他の役員さんもいるし、分団員もみな仲間なので頑張ろうと思います。

永井:ここで分団員が大切にしているコミュニケーション能力が生きてきます。

子どもたちに消防団の活動を知ってもらうために羽鳥小学校防災教育モデル校でポンプ車操作競技を披露したこともあるそうです。火災により住民が悲しい思いをしないように守ってくれている消防団の皆さんに感謝したいと思います。
小美玉市消防団女性部の活動を知っていただくために4/8(金)、市民に寄り添う~小美玉市消防団女性部~を公開予定です。

  • コメント ( 6 )

  1. 永井利幸

    消防団の記事、拝見いたしました。
    とても良く消防団の現在を書いていただき感謝いたします。

    私自身は、新年度より第三分団を離れますが
    この記事を読んで地域の方々に興味を持っていただき次世代の消防団員の育成に繋がればと思います。

    本当にありがとうございました。

  2. 藤田佐知子

    永井様
    メッセージありがとうございます。初めてインタビューの記事挑戦しました。編集長に協力してもらい素敵な記事を届ける事ができて良かったです。お身体に気をつけて私たちが安心して暮らせる活動を続けてください。

  3. 福島ヤヨヒ

    消防団の皆様本当にご苦労様です。
    新しい機庫・詰め所もできましたがちょっと狭いなあと思っています。駐車スペースや、作業スペースがもっと欲しいですね。
    皆さんの活動に期待しています。

  4. 藤田佐知子

    福島様
    メッセージありがとうございます。消防団の皆さんが出動しないで済むように心がけて生活したいですね。

  5. 村田兼一

    タウンジャーナル小美玉の皆様
    この度は、色々とお世話になりました。素晴らしい記事ありがとうございます。
    新年度を迎え、第三分団も新しい体制になりました。そして、4/3(日)に新詰所に引越しまして、これから羽鳥地区の新しい防災機拠点としてスタートいたしました。私たち役員、団員一同、これまで以上に地域の皆様のために火災予防活動や災害時の迅速な対応が出来る様に、常日頃から訓練を行い頑張って参りますので、これからも第三分団の活動にご理解ご協力の程、よろしくお願いいたします。

  6. 藤田佐知子

    村田様
    メッセージありがとうございます。
    新機庫、詰所の完成おめでとうございます。新分団長として素晴らしいスタートですね。
    お身体に気をつけて羽鳥地区、美野里をよろしくお願いいたします

藤田佐知子

20,501 views

★編集部★ 美野里地区を中心に取材を担当しています!よろしくお願いいたします。

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧

ABOUT

TOWN JOURNAL OMITAMAとは
私たち小美玉市民による、小美玉市民のための市民メディアです。

有志の住民グループにより結成された「タウンレポーター」が茨城新聞社の取材や編集の指導や協力を受けて、小美玉市の情報を小美玉市民のために発信していきます。
ABOUT