大曲(おおまがり)の桜並木と小美玉市役所の山桜
小美玉市を走る国道6号線の同市役所から大曲(おおまがり)交差点付近までの約1kmにわたって続くソメイヨシノの並木が通称「大曲の桜並木」です。特に満開過ぎの桜吹雪が圧巻で、国道の桜並木としては他に類を見ないものとして、もっと知られてもいい桜名所です。
大曲の桜は緑化推進運動の一環で1978年(昭和53年)に地元有志が植樹しました。昨年、植樹された方の家族に話を聞く機会がありました。昔から道路の両側に太い松並木が続いていましたが、時を経て老木となった松が倒れて被害が出ることを危惧した結果、全て伐採してその跡地に桜を植樹したそうです。苗木は現在のかすみがうら市志筑地区で育てられていたもので、近くにある美野里中学校の校庭を取り囲むソメイヨシノもその時一緒に植えられたものです。
近年は樹齢を重ねて枯れてしまうなど、ところどころ桜が無い区間が目立っていましたが、数年前からそこに次世代の桜が補植(ほしょく)されています。上の写真のピンクの桜は「ジンダイアケボノ(神代曙)」という品種で、てんぐ巣病にかかりやすいソメイヨシノの代替樹として、公益財団法人日本花の会が推奨している桜です。ソメイヨシノより少し早く満開になります。
昨年2月に補植されたソメイヨシノの苗木は、なんと4月に花を咲かせていました。これらはまるで親子のような風景で、今見られる立派な古木も、最初はこんなに小さかったことを思うと、桜がつなぐ時間の長さを実感します。きっと数十年後にはまた見事な景観となることでしょう。
同じく昨年2月、島田穣一市長に、市内の桜についてお話しを聞くことができました。小美玉市役所の入口に咲くヤマザクラの古木。現在茨城県立中央高校(同市張星)が建つ場所の雑木林にあったもので、高校が建設された際に、隣に生えていた松の木と一緒に移植されたそうです。
桜と松は平安時代から大事に考えられてきた最上級の組み合わせでもあり、そういった庭づくりの美学を分かっている方が、意味を込めて移植したものと想像できます。郷土のヤマザクラと松の原風景を再現したともいえる小美玉市役所の玄関口。このことはわがまちを表現する上でとても重要なことで、受け継がなければならない逸話ではないでしょうか。
ソメイヨシノより開花時期が遅く、同時に葉芽が出てくるのがヤマザクラの特徴で、またこの市役所のヤマザクラは、受粉すると花びらが純白からピンクに変化する傾向があり、大変珍しいです。昔誰かが心を込めて植えた古木も、今植え継がれている若い桜も、どちらも大切な物語を秘めているのですね。
タウンレポーター坂野が運営する茨城県の桜総合サイトです。小美玉市の桜を多数掲載しています。下記リンク先を参照してください。
「茨城県の桜-常陸国一千三百年の桜史」
コメント ( 12 )
大曲の桜の写真見事ですね。毎年、
大好きな母を助手席に乗せて、ほころび始めた桜、満開になった桜、散りはじめた桜を見に行きました。2年前、ほころび始めた桜の季節に母は旅立ちました。桜の季節が嫌いになるかと思いましたが、母に会える気がして桜の季節が以前よりも大好きになりました。今年も大曲の桜を何度も見に行こうと思います。素晴らしい記事と写真をありがとうございます
わんわんさん
コメントありがとうございます。
みなさんそれぞれに、桜との距離感があり、思い出があるものですね。
桜は植える人や守る人、記録する人や伝える人など、様々な関わり方がありますが
「愛でる人」が最も大切であると感じています。
今年も愛でる時期がやってきましたね♪
桜にまつわる思い出は十人十色ですね。
私の父は癌だとわかってから数ヶ月の命でしたが、お誕生日4月15日の父は、車椅子に乗って病院の裏の桜の園を眺めていたそうです。絵を描くのが大好きで最後までベットの上で筆を手にしていた父のことが思い出されます。
ちゃんと満開の桜を見届けてから天国に行ってしまいました。母にとっては桜の季節が辛いようですが、その辛さや悲しさが深く刻み込まれ、父を思い出す背景に桜があるのです。
桜から連想される様々な人生を思うだけでジーンとします。
坂野さんの桜の活動は素晴らしいです。私も感化され、足元にも及びませんが、また違った形で桜のことを広く伝えて行きたいです。
Nanaさん
コメントありがとうございます。
まさに愛でる側の思いも大切ですね。
そうでしたか、お父様と桜にそのようなお話が・・・
私はただみなさんの素晴らしい活動や素晴らしい桜を取り上げているだけですので
偉そうなことはいえません。
これからも茨城県の桜を様々な視点で追及していきたいと思いますので
ご協力お願いします。
大寒桜、大漁桜、オカメなどが開花はじまったようです。
いよいよ本番ですね♪
素晴らしい‼ 桜の専門家の記事って伝わり方が違いますね。写真を見て記事を読んで感激しています。
トップの6号国道大曲の並木の桜、市民になる前の昔から大好きです。なかなか晴れた日に行けずに残念な思いをしてますが、今年は晴れた日に撮りに行きたいです。小美玉市役所の山桜を未だ見たことが無いので今年は見に行きたいですね。
齋藤友幸さん
天候による桜風景の違いも春ならではの楽しみではありますが、やはり快晴や朝日は格別ですね♪
小美玉市役所のヤマザクラは風流です。純白の花と黄緑の葉のコントラストや風情をお楽しみください。
いま私たちが愛でている桜は、先人たちが未来を想って遺してくれたものなんですね。
overs24さん
コメントありがとうございます。
はい、数十年先のこの風景を想像して植えたんだと思います。
なので現代を生きる私たちが、しっかり愛でてあげることが最も重要で
その次に大事なことが、私達も未来に植え継ぐ、語り継ぐということだと思います。
こぼれ落ちそうな桜の写真見事ですね
今から桜の時期が楽しみです
色々な方のご苦労があって毎年綺麗な桜のに会えているのだと
改めて感謝です
ブルたんさん
コメントありがとうございます。
小美玉市が誇る桜並木です。
ここを通学する学生がうらやましいです。
大曲の桜並木 と言うんですね!
恥ずかしながら初めて知りました
桜の詳しい説明と見事な写真に感動しています。
ありがとうございました。
重ねてのコメントありがとうございます。
古木に歴史ありですね♬