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食品ロス削減と小美玉スマート・テロワール構想  ~タマムラデリカの取り組み

発見

小美玉市手堤にあるタマムラデリカ(株)美野里工場は食品ロス削減に取り組んでいます。同社は大手コンビニエンスストア向けの麺類や軽食、総菜を開発・製造。美野里工場では主に麺類を製造しています。地産地消を推進しようと、地元の特産物を活かした商品を地元住民と一緒に開発し、商品化しています。

一つの企画商品が完成し予定した製造期間を終了すると、企画内で使われていた食材の一部が余ってしまいます。工場では使いきれずやむなく捨てていましたが、まだまだ食べられるのに廃棄されてしまう「もったいない食品」を活かそうと、水戸市内で子ども食堂を運営する団体に食品を提供し、さらなる提供先を模索してきました。

そんな中、2020年9月に小美玉市社会福祉協議会との連携が始まり、同社協が運営するレストラン「ランチ&カフェ木もれ陽(こもれび)」(同市羽鳥)へ余剰食品の一部が提供することになりました。

※木もれ陽の料理長 鈴木さん

木もれ陽では毎月1回、同工場から食材を譲り受け、いろいろな料理に利用しています。料理長の鈴木守さんは、食材が届くといつもわくわくするそうです。「毎回とっても楽しみにしてるんですよ。今日いただいたのは刻み高菜とサラダチキン、揚げ玉と豆乳、スパイスが2種類。この材料で何を作ろうかな⁉」。 実際にできあがる料理はバラエティに富んでいます。タマムラデリカ社員の柏あゆみさん(管理部経理課係長)は「今までで印象に残っているメニューは『シベリア風ワンタン』です。油で揚げたワンタンとワンタンの間に小豆餡を挟んだもので、その発想に驚きましたが、とてもおいしくいただきました。『おやつにどうぞ』と、木もれ陽の皆さんがわざわざ届けてくれたんですよ」と話していました。

※大好評だった「シベリア風ワンタン」

木もれ陽では、提供してもらった食材でどんなメニューを作ったか写真で紹介する「感謝のお便り」を定期的に作って同工場に届けていて、両社の親交がますます深まっています。

※「ランチ&カフェ木もれ陽」から送られる感謝のお便り

タマムラデリカでは2002年から群馬県産小麦、2012年から常陸秋そば、2022年からは栃木県産小麦の普及に取り組んでいます。工場がある群馬・栃木・茨城県内にて、これらの原材料を使用した商品を積極的に製造し、生産地を明記することで消費者の「地産地消」の意識付けを推進しようと考えています。 こうした「食品ロス」や「地産地消」に対する思いは、同社工場がある各地方都市で積極的に取り組まれている「スマート・テロワール」(*1)構想の実現につながっています。「スマート・テロワール」とは土地の魅力を活かした豊かな農村社会をつくろうという考え方です。同社は小美玉市の自然環境や特産物の豊かさ、そして交通の利便性を活かし、持続可能な経済構造を作り、同市を元気にしようと考えています。

*1「スマート・テロワール」とは
非営利一般社団法人スマート・テロワール協会
https://www.smart-terroir.com/

小美玉市でのスマート・テロワール構想実現について、常務取締役 高橋康之さんに話を聞きました。「小美玉市は茨城空港という貴重なインフラを保有している地方都市です。平坦で豊かな土地から生産される農産物もたくさんあります。市内にはタマムラデリカと同じ大手コンビニエンスストアを含む食品の加工工場が複数あり、これは全国的にみても稀有なことです。そのほかにも食品を生産する企業が多い。市内の企業を何らかのかたちでマッチングできたらと夢が膨らみます!そして、この工場群と農家さんたちとつなげ、地域全体で地産地消、SDGsにも取り組んでまいりたいです。そのために、保管倉庫・製粉所などの設立に行政の援助があればいいですね」。

※市内張星地区 土づくりにこだわる農家さんの畑(この時期は玉ねぎの苗を栽培している)

「市内の子どもたちにメッセージはありますか?」という問いかけに、高橋さんは「まずは地域の歴史や特産物を知ってほしいです。自然や災害も。何より魅力を感じてほしいですね。今の子どもたちにとって、エコはもう特別なことではなくなっています。日常生活の中で体験を重ねて学び、小美玉の豊かな自然環境を守り活かしていってほしいです」と結びました。

※(左から)タマムラデリカ常務 高橋さん、係長 柏さん、桑野さん

桑野千夏さん(美野里工場 開発課)は、食べることと野球観戦が大好きという新入社員です。食に関係した仕事に就きたかったという彼女は常陸大宮市出身。「地域のボランティアにも積極的に参加して、地域の特色を学び、地元で収穫される農産物を活かしたスタミナラーメンの開発を目指しています。製造ラインで出てくる食品の端材を廃棄するのはとてももったいないと思うので、堆肥作りにも取り組んでいきたいです!」とこれからの抱負を力強く話してくれました。

タマムラデリカ 美野里工場では、地域の人材をもっと登用して、小美玉市の魅力を活かした美しい農村経済圏をともにつくっていきたいと考えています。

タマムラデリカ(株)
https://tamamura-delica.co.jp/

ぜひ、合わせてお読みください
「みんなが集う場所 ~ランチ&カフェ木もれ陽」
https://townjournal-omitama.com/2022/03/11/t00003/

  • コメント ( 2 )

  1. サイトウトモユキ

    食品製造工場では、余剰生産品の処置が大変ですね。もともと消費数が決まっている業界は無いわけですので。食料品の販売数見込み生産品の余剰は、再利用できなければ廃棄となる訳です。近くに余剰品を利用してくれる企業やお店があれば無駄が無くなるわけです。SDG’sの言葉が一般的に出てきて数年経ちますが、実際に動いているケースは少ないのではと思っています。小美玉市では、市の公報誌にも取り上げた課題です。食品ロス削減と小美玉スマート・テロワール構想  シマムラデリカさんと小美玉市社会福祉協議会(木もれ陽)さんとの取り組み かなりの数の業界での見本となるケースと思います。 こちらのタウンジャーナルオミタマの記事が新聞にも紹介されています。県や市の行政でももっと大々的に公開して行って欲しいです。

    • 瀧澤比佐乃

      サイトウトモユキ様
      コメントありがとうございます。
      私たちレポーターが目指すのは、人と人とを繋ぐことのように思います。
      記事に書いたことが、ラジオ番組で紹介されたり、SNSでシェアされたりして、また新たな出合いが生まれたらうれしいですね!
      いつもコメントで応援していただき、ありがとうございます。とても励みになります!

瀧澤比佐乃

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